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うららかな春の昼下がり。
雲ひとつなく晴れわたる空の下で、クレアは曇り空のようにどんよりと落ち込んでいた。道の脇に置かれたベンチに掛けて、手にした紙を何度も確認しては溜め息をつく。書面には簡潔に「不採用」の文字が記されていた。
街の広場の片隅に建つ職業紹介所に通いはじめてから、かれこれ三月ほどになるけれど、クレアは未だに次の就職先を見つけられずにいた。
紹介状がなくては条件の良い貴族の屋敷に就職するのが難しいことは理解していたつもりだった。でも、現実は想像よりもさらに厳しく、紹介される仕事はどれも、クレアにとって気が重くなるものばかりだった。
一度は部屋女中まで任されていたこともあり、クレアは以前の屋敷ではそれなりの給料を貰っていた。今さら皿洗いから出直していては、病床の母を養うのも難しい。けれど、解雇理由がアレでは、もはや職を選り好みできる状況でもなくなっていた。
貴族の屋敷に奉公に出る妙齢女性にとって、必要以上に容姿が整っているのは寧ろ欠点だ。
賢い貴族の奥方は問題の元は避けるもので、見目の良い女を夫や息子の側には起きたがらない。
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