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 当然醜聞のついた使用人を雇うことなどあるはずもなく、面接すらさせて貰えない。運良く面接を許されても、必要以上に整った容姿のせいで厄介払いされるばかりで。いっそのことその容姿を活かして娼婦にでもなれば良いと勧められたことすらあった。  見目の良い男性使用人は重宝されるのに、女性は淫乱だ毒婦だのと決めつけられ蔑まれる  クレアに暴行を働いたジェイクは今でもあのお屋敷で変わりなく暮らしているというのに、全くもって不公平な世の中だ。  ふう、と大きな溜め息をつき、顔を上げると、ちょうど友人のエレンが紹介所から出てくるのが見えた。  クレアに気がついたエレンは小さく手を振ると、つかつかとベンチに向かって歩いてきた。 「こんにちは、エレン。どうだった?」 「全然ダメ。……あなたは?」 「わたしもよ」  クレアが答えると、エレンはおどけるように肩を竦めてみせた。クレアの隣に腰を下ろし、書面を覗き込みながらエレンがぼやく。 「家畜の世話はもちろん、掃除もまともに出来ないわたしならともかく、あなたが不採用続きなんて信じられないわ」
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