上手くいかないゴールデンウィーク

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頑張らないと… 「ゆか!」  遠くでゆうくんが呼ぶ声がした。 気が付くと新幹線のホームをみんなで目指していたはずなのに、私一人だけ別方向にいた。 頑張らないと…  ホームについて、まだ新幹線が来るまで時間があった。  喉が渇いたので微炭酸のオレンジジュースを買った。 ぶしゅー…  手がべたべたになった。 微炭酸なのに… 頑張らないと…  手を洗いに行って、トイレの手洗い場に携帯忘れた… 頑張らないと…  電車が来た瞬間、飲み物のキャップを落とした。コロコロ転がって、ホームと電車の隙間へ… 頑張らないと…… 頑張った! 通路またいで、だけど新幹線の席ゆうくんの隣ゲット!  るなちゃんは私の前、指定席争奪戦は私の勝利ねオホホホ!  ゆうくんは…お弁当食べようとしてる…また口で割り箸を…いえ良いのよ。  今日は、ケンカしないの笑顔の日よ。 「いただきます!」 「わあ、ゆうくんおししそうだね。私もお弁当にすればよかったかな…」 「こら!祐司くん!割り箸口にくわえたらお行儀悪いでしょ!」  るなちゃんだった。  ゆうくんはきょとんとした顔で言った。 「るなちゃんて意外とお行儀いいんだね」 「意外とってなに、まったく。だ、め、よ」  るなちゃんの天使のような笑顔に一瞬にしてゆうくんの顔がデレっとしたのがわかった。 「ごめ~ん」  ガッデム!! かわいいからか?かわいいからなんでしょ?ああやる気なくした。もう寝る。 「涼子先輩、すみません窓側かわってもらってもいいですか。気分がよくなくって」  私はふて寝した。
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