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久しぶりに感じる。しっかりと握られた手の包容感、神秘的な魅力に満ちた、太く背の高い木々に囲まれた参道。
私のポカポカと暖まった胸の内を周りの雰囲気が涼しげに包み込み、とても心地良い。
一足一足、ジャリジャリと音を立てる玉砂利も何だか楽しげな気がした。
私は、神宮を清清しい気持ちで参拝した。
・・・・・・・・
私達は一通り参拝を終え宇治橋の入口まで戻ってきた。
姿のない健治くんとるなちゃんは大丈夫なのだろうか?と言う私の疑問を口にしたのは涼子先輩だった。
「部長、あの二人の姿が見えないけど大丈夫なの?」
「それなら大丈夫、あの二人は最初の茶屋にいるらしいから。」
宇治橋を後にし、お祓い町を戻る途中おかげ横丁の入口の招き猫で集合写真が撮りたいと涼子先輩が持ちかけた。
健治くんとるなちゃんいないけど……
「もう一回、茶屋で撮ればいいべ!」
と言うことだ。
涼子先輩はそこら辺にいたカップルに話しかけてカメラを渡した。その行動力流石。
「撮りますよ~」
ゆうくんと並んでまた思いでが増えた。
・・・・・・・・・
最初の茶屋に二人の姿はあった。健治くんがお茶をすすり、るなちゃんがバクバクと赤福を食べているのが見える。
二人と合流し部長が号令をかけた。
「注目!これから今日の宿泊先に向かいます!」
バスの席はまた、るなちゃんにゆうくんの取られてしまった。
健治くんも、
「良いんですか?僕の隣で」
って言ってるけど、伊勢神宮楽しかったからいいや。
「みんなでの旅行だしいいんだ」
「後で後悔しないでくださいよ」
こうして、人生最後の伊勢神宮を後にした。
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