42人が本棚に入れています
本棚に追加
ウソという名の日常
ゆうくんは長い間、意識不明のままだった。いつも私は側についていた。
やっと目が覚めたのは4月も中頃のことだった。
「ゆうくん!」
彼は、普通の朝が来たかのようにむくりと上体を起こした。
辺りをゆっくりとみまわし、私のところで止まる。
彼はまじまじと私を観てこう呟いた。
「あなたは誰ですか?」
* * * * *
彼は記憶喪失になっていた。そっくりここ一年位の記憶がないみたい。
私は……
ある計画を実行した。彼の両親、友達、学校にも協力してもらって。彼にはもう一度、私と一緒に一年生をやってもらうの。
彼と付き合い始めたのは11月。10月25日、彼の誕生日を祝った時、彼から告白をもらった。
だから……
彼の誕生日を祝ったら私は彼の目の前から消えるよ。
もう一つ、彼に嘘をつくことにした。
大学の入学式で出会ったにしては仲が良すぎるから、彼とは幼馴染で大学で再会したという設定にさせてもらった。
私の両親にも彼の両親に挨拶させて面識あるようにしたし。
死ぬ前に彼と人生楽しむんだ。
最初のコメントを投稿しよう!