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彼が目覚めてから、毎日お見舞いに行った。
寝たきりだったのでリハビリなんかもあって、手伝ったりしながらお互いのことを話した。
出会ったばかりの頃ように、探りながら話てくる彼の姿はなんだか懐かしい感じがした。
短いけど大学生活がちょっと楽しみに感じた。
そして、4月後半から大学へ復帰出来る事となった。
* * * * *
「ゆか……なんだかオレ達だけ取り残されてる気がする」
桜が散ってしまい。黄緑色の青葉をのぞかせる木々。
初登校の正門後のメイン通りで彼は、私に呟いた。
「大丈夫、私がエスコートしてあげる」
「そうか、ゆかは入学式から来てるのか……おれだけか……」
彼は、顎をしゃくらせ変顔を見せた。
思わず私は、笑った。
「何がおかしい」
彼はまだ変顔をしている。
なんて言うか、目覚めてからもリハビリだったりつらそうな日々だっから。
やっと平凡な生活と、マの抜けた彼が帰って気がして思わず吹き出してしまった。
「お帰り」
うっかりボソッと言った。
「そんなに経って無いよ。1ヶ月ぶりなんだから……あんま記憶がないけど」
しまった、彼は入学式はいた事にしてあるんだっけ。気をつけないといけないな。
「そうだよね!1ヶ月しか経ってないもんね!」
はっはっは~っと笑ってごまかす。
たしかに……一年目で最初の一か月間休んじゃうとか不安になるよね。
でも、大丈夫なんだちゃんと準備してあるから。
「授業の取り方とかどうすんだろう。説明聞くの面倒くせえ」
「大丈夫!」と 手をあげ自信満々に宣言する。
「私と全部、同じように提出しといた!」
「ええ……ありがたいけど、全部、同じってちょっと……」
記憶喪失でも前と変わらないなあ。
出会った時も偶然みんなおんなじで、『……ちょっと……』とか言ってたっけ。
「ちょっと……何?恥ずかしい の?」
そんな時は、お仕置きするんだ。彼は脇腹がとても弱い。
「それ!」と私は彼の脇腹をつつく。
彼は声にならない声をだし飛び上がった。
「ちょっと、それ本当にやめて~本当感謝してます。うれしいです!」
「よろしい!」
満足!満足!
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