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「ゆかちゃん、驚くのはまだ早いよ!次は健治くんでーす」
しかし、健治くんは顔をそらしたまま。
「ほら健治、しっかり!」
「ゆかさん……」
声は出たものの、まだ目線をそらしている。
いやチラチラは見ている。
少しじれったい。
るなちゃんの張り手が背中をおす。
健治くんは決意を込め、私と目を合わせた。
「ゆかさん!僕と結婚してください!」
プロポーズされたということでいいのかな。
これも、あまりに突然なことでなんて返していいのか……。
「一目見た時からあなたが好きでした。けして、酔っぱらったから言っているのではありません。今日言うつもりでした」
彼の目は、真剣。
「死んでしまうまで僕が君を幸せにしたい。」
たぶん、彼の決意は本物だと思う……だけれど。
「ごめんね。心に決めてる人がいるの」
すると、彼はくるりと背を向け走り去ってしまった。ごめんね。
るなちゃんが続く様に答えた。
「さっきは、ああは言いましたけど、結構応援してますからね」
るなちゃんも、走り去ってしまった。
5月のまだ肌寒い夜は一人になると余計に見に染みた。
私は、無理せず迎えを呼ぼうかな……
そういえば、お薬、飲み忘れてるから飲まなきゃ……
少し涙がこぼれた.
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