大好きな彼

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大好きな彼

 大学生のころ、私には大好きな人がいた。  彼は、一般的な言い方をすれば、オタクという人種だと思う。  ほかの人には根暗に見えたかもしれない。  でも、私にとっては太陽のような人だった。  彼は私に大切なことを教えてくれた。彼はきっと無意識なんだと思うけれど。  私は小さいころからお花が好きだった。  大学生の一人暮らしにしては広めのベランダで、私は何種類もお花を育てていた。  花屋さんでバイトもして、売れ残った切り花をもらってきて、花瓶にいれて玄関に飾っていた。 「今日も元気に行ってくるね。」  朝の水やりをしながら、私は今日もお花たちに話しかける。
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