美樹×麻耶

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美樹×麻耶

どうにもならない事ってあると思う。 例えば俺は男が嫌いだ、嫌悪さえ覚える。 人が苦手な訳じゃない。 逆に女は好きだ、周りが引く位。 その他にも、宝クジが当たらなかったり方向音痴だったり勝負事で1番になれなかったり産まれてくる親を選べない事とか色々、どうにもならない事って世の中多い。 「ねぇ~まじ何もしないわけ~?」 寝転がって流れる雲を眺めていた俺の腹部が重くなる。 体の上に跨れ猫撫で声で挑発されても、今日は何となくそんな気分になれなかった。 露の季節も終わり、丁度良い気候の中での屋上の昼寝は良い暇つぶしになる。 つまらないと文句を垂れる女に、さっき借りて来た英和辞書を渡すとふざけるなと投げ返され怒ってどこかに行ってしまった。 「借り物投げんなっつの」 辞書を拾い、パラパラとめくってみる。 これの持ち主は勉強が嫌いらしく中はマーカーの跡が一つも無い、正規の姿そのものだった。 名前も書いてないから簡単にパクれそう。 本当にこの辞書の持ち主【麻耶】は単純なくせに妙な奴だ。 男のくせに俺が狙ってる女【真侑】と瓜二つの顔をしているし(双子なので当たり前なのだが、雰囲気も全て異常に似ている)男嫌いな俺が唯一普通に絡める男。     
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