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その頼りない声と同じ、か細い肩と腰に程良く筋肉のついた自分の腕を巻き付け完全に動きを封じる。
サラサラの長い髪が無造作に散らばる。
それに顔を埋め思い切り空気を吸い込むと、ビクリと更に真侑の体が硬直した。
密着する真っ平らな胸からすごい速さの鼓動を感じる。
抱き締めている体勢から表情を見る事は出来ないが、真っ赤に上気させているのは経験上間違いなかった。
そんな真侑とは裏腹に、自分の胸はどんどん冷えていく気がした。
狙ってた獲物が腕の中にあって、あの時の様に引っ叩かれず振り払われず収まっているというのに。
このまま人気のない教室に連れ込んで、さっさとヤる事ヤってしまえばいいのに。
いつもの俺なら迷わずそうする。
それでも、真侑の小さな体を支えにしてるかの様に何故が動く事が出来なかった。
「そっか。そうだよな、やっぱり麻耶も他の野郎と一緒か」
「違う!下心違いって言うか…っ、そうじゃなくて違くてっ」
俺の胸に顔を埋めたまま真侑が声をあげた。
自分から言っといて意味わかんないんですけど、言葉にもなってないし。
「まー、もういいじゃん。麻耶の話はやめよ…」
「や!やめないで!!」
間髪入れずに遮られて、顔を上げた真侑の顔は必死の形相だった。
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