第3話  居場所を求めて

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コウイチはアコースティックギター、ミカはジャンベという珍しい打楽器を担当している。 経験の浅い僕には、他パート人の腕の良し悪しなんてわからない。 でも2人で練習している時の楽しそうな姿は、とても印象的だった。 いつか僕もあそこに混ざりたい……なんて思ってたっけ。 「それでさ、気晴らしにセッションしてかない? 飛びきり大きな音出して遊ぼうよ」 「でもどこでやんだよ? 大学のスタジオは入れてくんないだろ」 「外の借りればいいじゃない。カラオケ行くくらいのお金で2時間いけるわよ」 「アッハッハ、今月は負けがこんでてなぁ」 コウイチはドアノブを捻るような仕草を見せた。 それは彼のもう1つの趣味だった。 講義には全く出ずに、頻繁に通ってるみたいだ。 「あのね、あんまり注ぎ込むと依存症になっちゃうわよ? それって他人事じゃないからね」 「大丈夫だ、まだ家賃に手を出してねぇからな!」 「あー、これはダメなパターンね……。お金なら貸さないからね」 「まぁまぁ、その話はこの辺にして。金掛けないでやろうぜ。公園とかでいいじゃん」 「たぶん怒られるわよ。この辺の公園は、住宅街のど真ん中にあるんだもの」 2人も良い練習場所は知らないようだった。 意見を出し合いながらも、必ず何かがネックになっている。     
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