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コウイチはアコースティックギター、ミカはジャンベという珍しい打楽器を担当している。
経験の浅い僕には、他パート人の腕の良し悪しなんてわからない。
でも2人で練習している時の楽しそうな姿は、とても印象的だった。
いつか僕もあそこに混ざりたい……なんて思ってたっけ。
「それでさ、気晴らしにセッションしてかない? 飛びきり大きな音出して遊ぼうよ」
「でもどこでやんだよ? 大学のスタジオは入れてくんないだろ」
「外の借りればいいじゃない。カラオケ行くくらいのお金で2時間いけるわよ」
「アッハッハ、今月は負けがこんでてなぁ」
コウイチはドアノブを捻るような仕草を見せた。
それは彼のもう1つの趣味だった。
講義には全く出ずに、頻繁に通ってるみたいだ。
「あのね、あんまり注ぎ込むと依存症になっちゃうわよ? それって他人事じゃないからね」
「大丈夫だ、まだ家賃に手を出してねぇからな!」
「あー、これはダメなパターンね……。お金なら貸さないからね」
「まぁまぁ、その話はこの辺にして。金掛けないでやろうぜ。公園とかでいいじゃん」
「たぶん怒られるわよ。この辺の公園は、住宅街のど真ん中にあるんだもの」
2人も良い練習場所は知らないようだった。
意見を出し合いながらも、必ず何かがネックになっている。
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