第3話  居場所を求めて

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僕は顔色を窺いながら提案してみた。 「僕は良い場所を知ってるんだけど、良かったらどうかな?」 僕たちは楽器を持って移動し始めた。 道すがら雑談、とはならずに愚痴の言い合いになっている。 「全く、なんなのよアイツ! ちょっと気にくわない音を見つけると『今出した音に根拠はあるのか?』とか煩(うるさ)すぎるのよ!」 「あー、言う言う。本人の演奏は『有名なフレーズ』のツギハギなのにな。それでご満悦なんだからアホすぎるな」 「思い出したらまたムカついてきた! ソウマくん、あんなヤツの言うことなんか気にしたらダメなんだからね!」 2人とも逞しいなぁ。 昨日の僕はというと、途方に暮れるだけで陰口を叩く余裕は無かったよ。 「見て、あそこなんだけど」 土手に着いた僕は、草むらの廃屋を指さした。 昨日と変わらないままそこにある。 正直言って、もう一度あの場所に行ける保証はない。 だから2人を連れてきたのは、半分こじつけだった。 あれが夢だったのか、現実だったのかを確かめたくて仕方がなかったんだ。 「誰かの家……じゃないか。こんだけ荒れてるんだもん」 「屋根があるだけでも助かるよな。さっそく使わせてもらおうぜ」 「うん。じゃあ行こうか」 僕は先導するように小屋へと歩き始めた。     
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