第4話  再び森へ

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原曲はバラード調のゆったりしたものだけど、ミカのおかげでサンバのような雰囲気になる。 ーーこれはこれで心地いい……。 コウイチもそれに倣(なら)ってコードを細かくかき鳴らす。 リズムを壊さないように、シャープにしっかりと。 たまに単音を弾いて、僕との二重奏のようなプレイも織り混ぜている。 しばらく演奏をしていると、コウイチのメロディと半音でぶつかってしまった。 一瞬で辺りは不協和音に包まれてしまう。 ーー失敗しちゃった?! 慌てて目を開くと、コウイチはいたずらっ子のようにニヤニヤしながら、また半音違いで音をぶつけてきた。 ーーまったく、子供みたいな真似しないでよね。 彼の陰謀を避けるようにして、メロディラインとリズムを変えた。 僕を見失ってコウイチはアワアワと音を探っている。 タタトタンタァンッ。 ミカから合図が飛ぶ。 『そろそろいいんじゃない?』というサインだ。 僕らはタイミングを揃えて、最後の1音を鳴らした。  ◆ 「コウイチ、さっきのは何よ。わざとやったでしょ?」 「だってさ、ソウマが目ぇ瞑って吹いてんだもん。ちゃんと顔を見合わせながらやりたいなーって思ってさ」 「あ……ごめんね。つい癖が出ちゃって」 ああ、そうだったんだ。 そこまでの意味があったなんて気づかなかった。     
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