7人が本棚に入れています
本棚に追加
もう1人じゃないんだもんね、みんなと気持ちを通じ合わせないと。
「じゃあ2曲目行こうか、オレから行くぞ!」
「こんどは、あたしもやるーっ」
「おわぁっ!!」
突然目の前に『ドサリッ』と空から人が降ってきた。
驚きのあまり、全員が足をもつれさせて転んでしまう。
その拍子に見えたのは、ブンブン揺れる長い木の枝。
そこから落ちてきたのかな……危ないなぁ。
「何この子カワイイ! 子役みたいな美人さんじゃないー」
「おぉ、金髪碧眼(へきがん)ってヤツか。キレイな青色だなぁ」
「普通、どこの誰かを気にするもんじゃない?」
映画やドラマで見かけるような少女の登場に、2人は大盛り上がりだ。
歳やら名前やら国籍やら、早くも質問攻めにしている。
当の本人はというと、質問をかわしながら大きな声をあげた。
「おウタ、うたうの! きいてちょうだい?」
その言葉を聞いて、僕は反射的にサックスを構えた。
コウイチとミカもそれに倣う。
◆
彼女が披露する歌は、昨日と同じものだった。
それでも僕は新鮮に感じた。
昨日の元気の良い歌い方と違って、今日は少しだけ大人びていた。
メロディとともに吐き出された息が、僕たちを優しく包み込むようだ。
それを聞いてアクションを起こしたのはミカだ。
最初のコメントを投稿しよう!