第4話  再び森へ

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先ほどの細かいビートではなく、ボサノバのようなゆったりとしたリズム。 少女の歌を邪魔しない打音が、心の奥で素直に響いた。 コウイチもコードをゆっくりと鳴らし、メロディに奥行きを生み出そうとしている。 僕は歌のラインから外れた音域を吹いていた。 歌が高音なら低め、低音を歌ったら高めへと、邪魔しないようにしつつ引き立て役に徹した。 曲の調子は最後まで変わらず、ゆったりと余韻を感じながら音を切った。  ◆ 「すっごーい、この子天才じゃない! こんな歌初めて聞いたわよ!」 「おおお、鳥肌立っちまったよ。感動しながらの演奏って何年振りだろ?」 「エヘヘー、たのしいねぇ。キレイな音、きもちいいねぇ」  この日を境に、僕たちの生活は様変わりした。 夕暮れ時に集まって、心の赴くままに演奏する毎日。 平日だけに止まらず、土日や祝日だって休まずに集まった。 名前すら知らないこの少女によって、僕たちは大きく進化しようとしていた。
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