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それが顔を持ち上げて、白く美しい花を開いた。
その一輪をきっかけに、あちこちで『ポンッ』『ポンッ』と咲き始める。
呆然と眺めている間に、あっという間に一面が白い花で埋め尽くされた。
「うわぁ……キレイねぇ」
「今日が咲く日、だったのかな?」
それだけでは終わらなかった。
花からは淡く緑色に光る粒のようなものが、ゆっくりと浮かび始める。
いくつもの、いくつもの光り輝く粒。
それらがフワリと宙を漂い、僕らの顔を緑色に照らす。
そして吹く風に舞って、暗くなった空へと飛んでいく。
数え切れない程の光が夜空の色を変えた。
ーーまるで流星群みたいだ。
胸の中でそっと溢した。
「きれいだね、きもちよかったね。きょうはとっても、いい音だったよ」
少女は満足そうに笑っていた。
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