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第6話 少女の涙
午後の5時前。
僕たちはいつものように河原へと向かっていた。
話題は昨日の不思議な景色のことで持ちきりだった。
「あんな花あるんだなー。オレはそういうの詳しくないから、全然知らんかったぞ」
「いやいや、現実にないでしょ。花粉が光る花なんて……ないよね?」
「うーん、僕に聞かれてもなぁ。光るキノコはあるようだけど」
気になってネットで検索してみたけど、あの花らしきものは見つからなかった。
ちょっと気持ち悪い画像まで関連ヒットしてしまい、それ以来調べていない。
「それにしても不思議な場所だよなー。好きなだけ音を出せるからいいけどさ。しかもタダ!」
「そうね。森から出るといつもの街に帰って来ちゃうんだもんね。他に話しても信じてもらえないわよね」
「あの女の子もね。どこからやって来て、どこへ帰ってくのかもわからないよね」
2人ともウンウン頷いている。
あの場所もあの少女についても謎だらけだ。
聞いても答えてくれないし、調べても勿論わからない。
だから余計な事を考えずに、『ちょっと変わった練習場所』くらいに捉えていた。
実際僕たちの腕前は上達しているようだった。
単純な技術ではなく、もっと深い部分が。
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