第7話  心の在り処

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急いで中を改めると、より強い光が辺りを照らした。 金でコーティングされた僕の相棒。 それが今は、無言のまま凶悪な敵と相対している。 ーーお前と一緒なら、助けられるのか? 僕はサックスを本来の姿に戻した。 光の中心がより色濃くなった気がする。 僕は口をつけて、息を送り込んだ。 文字通りそれが息吹となるように。 それに応えるかのような風が吹く。 向かい風だった冷気とは違う、暖かい追い風。 お互いの発する光が衝突する。 それでも相手の方がずっと大きい。 侵食を遅らせる事はできても、押し戻す事ができない。 ーー何か、力はないのか。この場で役立つものはないか。 迷っている間も花は枯れ、石畳が敷かれていく。 モタモタしているゆとりは無かった。 僕は思いつくままにメロディを奏でた。  ◆ 演奏しながら向き合うことで、状況が見えた。 襲ってきた光の正体は『音』だった。 偉大なる作曲家が、アーティストが生み出した旋律、和音、リズム。 おびただしい程の情報が、僕の体へとぶつけられる。 まるで暴風雨に曝された一本の若木のよう。 自分の姿勢を保つことさえ覚束ない。 「人が心地よく感じるメカニズムは解明されている。なぞれ。貴様ごときが入り込む余地は、有りはしない」 僕はこの言葉を聞いて、初めて理解した。     
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