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なぜここまで腹が立つのか。
なぜこの男が憎らしいのか。
この花は僕の心なんだ。
この世界に生まれた証を残そうと、必死にもがく僕の魂なんだ。
「はみ出すな、疑問を持つな、自惚れるな。偉大な先人を飛び越すことなど、出来るはずがない」
その通りかもしれない。
誰も僕の思い付きの音なんか、聞いてくれないかもしれない。
それでも……。
「ゴチャゴチャとうるさい! 気持ちいい音を良いと言って何が悪いのよ!」
「あっはっはぁ、こんなファンタジーな世界が見られるなんてなぁ! つうかこれ、生きて帰れんのかよ?」
「2人とも? どうして?!」
僕らは並んだ。
いつものような円ではなく、横一列に。
もちろん、それぞれに音を鳴らしながら。
「なんだか花が枯れていくのを見てたら、じっとしてられなくて」
「オレはな、明るい未来への布石だ。この場を格好良く治めて、10年後のあの子と結婚するためのな!」
「ハンッ、相手にされるわけ無いでしょ。見るならマシな夢を見なさいよ」
「やってみなきゃわかんねぇだろ。オレはいつでも最高峰を狙ってんだよ」
こんな時でもノンキだなぁ……。
状況はわかってるんだよね?
口喧嘩をしながらも、音を乱していないのは凄いけども。
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