第7話  心の在り処

3/5
前へ
/39ページ
次へ
なぜここまで腹が立つのか。 なぜこの男が憎らしいのか。 この花は僕の心なんだ。 この世界に生まれた証を残そうと、必死にもがく僕の魂なんだ。 「はみ出すな、疑問を持つな、自惚れるな。偉大な先人を飛び越すことなど、出来るはずがない」 その通りかもしれない。 誰も僕の思い付きの音なんか、聞いてくれないかもしれない。 それでも……。 「ゴチャゴチャとうるさい! 気持ちいい音を良いと言って何が悪いのよ!」 「あっはっはぁ、こんなファンタジーな世界が見られるなんてなぁ! つうかこれ、生きて帰れんのかよ?」 「2人とも? どうして?!」 僕らは並んだ。 いつものような円ではなく、横一列に。 もちろん、それぞれに音を鳴らしながら。 「なんだか花が枯れていくのを見てたら、じっとしてられなくて」 「オレはな、明るい未来への布石だ。この場を格好良く治めて、10年後のあの子と結婚するためのな!」 「ハンッ、相手にされるわけ無いでしょ。見るならマシな夢を見なさいよ」 「やってみなきゃわかんねぇだろ。オレはいつでも最高峰を狙ってんだよ」 こんな時でもノンキだなぁ……。 状況はわかってるんだよね? 口喧嘩をしながらも、音を乱していないのは凄いけども。     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加