第7話  心の在り処

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「従え、厳然たる掟に。染まれ、先人たちの思想に。嵌まれ、用意された型に」 「たとえ褒められなくても、愛されなくても、貶されても、僕たちは負けたりしない!」 手法を真似するのは良い。 名作から学ぶのも良い。 時には手を引っ込めて、誰かに譲る事も必要だろう。 でも、この想いだけは……。 魂だけは、何にも模倣しない! 自分の心が認めた感動を、情熱を否定なんかしない! 昨日と同じように、僕たちは法則の無い音を並べ始めた。 それでも要領は心得ている。 瞬く間に音はメロディとなり、リズムが整い、コードでそれらが紐付けられる。 僕たちの持つ光は、より鮮明な橙色となり、青い光とぶつかった。 先ほどまでの頼りなさは無い。 互角の押し合いを繰り広げている。 ーーもっともっと。まだ上にいけるよ! そんな声が聞こえた気がする。 その通りだと思う。 ここまで荒らした礼を、この程度で済ますハズがない。 より鋭く、鮮明に、意思を込めた旋律。 天まで響かせるような、全身全霊の合奏。 ジリジリと青い光を追い返す。 それでもまだ弱い。 もうひと押しだ。 ーーもうちょっと、もうちょっとだよ。がんばって! いやいや、『もうちょっと』じゃあないよ。 その一歩先まで行ってみよう。 その先も、さらにその先にも世界は広がっているはずだから……。     
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