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そう思った時だ。
僕らの光は勢いを増して、青い光を一気に塗り替えた。
そしてそれが銀色の男にまで届くと。
ーーパァァアン!
と炸裂音が響いた。
辺りは強烈で真っ白な光に包まれる。
目を開けることすら叶わず、両腕で顔を守ろうとした。
終わらない光の渦にさらされ、直向きに耐えていると、こんな声が聞こえた。
ーーその想いこそ大切なもの。決して忘れないで。
大人の女性だろうか。
とても優しく、どこか諭すような色の。
君は誰だ?
それを聞く前に光は収まった。
◆
目を見開くと、辺りは真っ暗だった。
所々に小さな灯りが見える。
遠くには鉄橋を走る電車の音、高架線を行く車の音、自転車のペダル音。
目が慣れた頃に僕たちは気づく。
ここは入り口になっている小屋である、と。
そして後日、僕たちは知る事となる。
あの森へ向かう手段を無くしてしまった事を。
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