第1話  打ち捨てられた小屋

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「ごめんください。誰かいませんか?」 念のため入り口で声をかけてみた。 もちろん返事はない。 ドアは壊れかけいて、建物に寄りかかるように斜めっていた。 その隙間から中が見えそうだけど、暗すぎて確認ができない。 「すいません、ちょっと失礼しますよ……?」 僕は音を立てないように、静かに中へと入っていった。 穴の空いた壁から光が差し込んでいるけど、6畳分くらいある小屋を照らすには不十分だった。 暗がりに慣れない目のまま、中へと一歩踏み出した。 でもそれは失敗だった。 ーー地面が、ない?! 僕はポッカリと口を空けた大穴に転がり落ちてしまった。
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