第2話  森の中の少女

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幼い頃から空き缶を拾い集め、わずかなお金を少しずつ貯めていき、サックスを手にしたのは20歳を過ぎた頃だった。 喜びのあまり起きている時間はもちろん、寝るときでさえ手放さなかったらしい。 その時の感動をもとに書かれた、とても華やかな曲。 生きる喜びと、達成感が溢れ出ている、僕の大好きな曲。 演奏に合わせるように虫の鳴き声も聞こえてきた。 なんとなくセッションしているような気分で嬉しくなる。  ◆ ふぅ……こんな所で演奏するのも気持ちいいなぁ。 口を離して目を開けると、陽は暮れたせいか辺りは暗くなっている。 そしていつの間にか、目の前には一人の人間がいた。 背は低く、ベージュ色のワンピースを着た女の子だ。 両目は青く、髪は長くてサラサラの金髪。 きっと外国人の子供だろう。 歳はわからないけど、10歳くらいに見える。 「ああ、ごめんね。ここは君の家の庭なのかな? 空き地だと思って吹いちゃったんだ」 女の子は笑顔のまま首を傾げている。 参ったなぁ、日本語が通じないみたいだ。 これは長居なんかせず、とっとと退散した方がいいかもしれない。 「おにいちゃん、キレイな音だすね。すごく楽しかったよ」 よかった……言葉が通じるぞ。 と言っても、話すべき事なんかあまり無いけども。 「それ、なぁに?」 僕の方を指さしながら言った。     
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