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そう思ってしまうほどの、濃厚なセッションだった。
◆
「すごいすごい、こんなの初めて!」
よほど嬉しいのか、女の子はその場でピョンピョン跳び跳ねた。
髪を振り乱しながら、心から楽しそうに。
「そんな事より、おうちはどこ? もう真っ暗だよ」
「おうち?」
「えーっと、パパやママはどこかな? 今ごろ心配してるよ」
「パパ、ママ……?」
ダメだ、埒があかない。
こんな森の中に一人で居るんだから、迷子なのかもしれない。
一緒に親御さんを探してあげなくちゃ。
「一人で怖かったよね。僕と一緒にパパやママを探しに行こうか」
僕は女の子と一緒になって森の出口を探した。
うっすらと道らしきものがあるから、暗がりでも外に出ることができそうだ。
それにしても長い道のりだなぁ。
こんな大きな森なんてあったかな?
10分くらい歩いただろうか。
もしかすると30分くらい歩いたかもしれない。
代わり映えしない道を歩いていると、時間の感覚がおかしくなってくる。
そんな不安を覚えていると、森を抜けた。
そこは住宅街で、少し離れたところに見慣れた駅が見える。
ようやく文明の灯りに包まれ、ホッと胸を撫で下ろした。
「随分深い森だったね。君はいっつもあそこで遊んでいるのかな?」
振り替えると女の子は居なかった。
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