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あの道を歩いている間にはぐれてしまったんだろうか。
これはボヤボヤしてられない。
警察に電話しなきゃ!
通報してすぐにお巡りさんは来てくれた。
でも顔に逼迫感はなく、怪訝そうな顔をしている。
「君かな? 一報を入れたのは」
「はい、そうです。森の中で女の子とはぐれちゃって……」
「森? 森ねぇ……」
お巡りさんは辺りを見回しながら、不審そうに呟いた。
僕を見る眼差しが少しだけ強くなる。
「この辺りに森なんかないよ。君、酔っぱらってる? まさかクスリじゃないよね?」
「え……そんなハズは!」
お巡りさんの言葉に嘘は無かった。
歩いてきた場所は森なんかじゃなく、奥行きのない林。
しかも行き先は狭い畑があるだけだった。
そんなバカな、ただ一本道を歩いてきたハズなのに……。
僕はあまりの事態に呆然としてしまった。
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