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0.99:≫≫プロローグ
カード・キーを差し込み、マンション全体を管理するA.I.システムにアクセスする。
上条は慣れた手つきでオートロックを強制解除した後、さらに目的の部屋である[801号室]のドアの緊急開放をシステムに要求した。
「8階だーー」
二人の男は両手に機器を抱えるとエレベーターに乗り込んだ。
「くそ、腹減ったな。こんな夜中に通報とはね」
「自動救急通報から現在11分経過ってとこだな」と、肉付きのいい男が時計を確認した。
「どっちが潜る?」
ジャンケンで負けたのは言い出しっぺの上条の方だった。
「また俺かよ……! たまにはおまえも現場に出た方がいいぞ。カンが鈍るぞ、榎本」
「へへ、悪いな、まあこれでも飲んでろや」
榎本と呼ばれた肉付きのいい男からジェル・ドリンクを渡され、上条はそれを口に含む。
「うわ、不味ず……」
「それでも新製品なんだぜ。酔い止め効果はバツグンだ」
目的の[801号室]はエレベーターを降りてすぐの角部屋だった。部屋の中に意識のある者はいない。そのことはすでにわかっている。上条はノックすることもなくノブを回した。ドアは先ほどの緊急要請によりすでに開かれていた。
「よし、いくぞ」
二人は部屋の中へと無造作に機器を運び入れた。
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