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「なんか見たことある顔してるな。……ま、唯はこれが好きなんだよ。よくわかったか?」
「唯……」
顔見えないのが救いだ。
雅也、私、お父さんとこんなんだよ。
もう、見ないで。……お願い。帰って。
「唯!!」
雅也が何かして、私の足の紐を切った。おもちゃ、落ちた。
私を抱えた。
「くだらねえオヤジだな!!唯の親かテメえ!!唯、連れて行くからな!!」
「やめろ!!唯を離せ!!」
「うぜえ!!こんなん見て、俺がショックでも受けてすごすご帰ると思ってんのかクソオヤジ!!テメえの子供だろうがよ!!」
「離せ!離せ!お前みたいな若造に何がわかる!唯を気持ちよくさせて、唯が俺を気持ちよくさせて、これがうちの……」
バキッって音した。
お父さんが床に倒れた。
「社会的に潰すか?!ああ?!とにかく唯は俺が連れて行くからな!!」
抱えられたまま、雅也の車に乗せられた。
何も言葉出なくて黙ってた。
「………なんで言わない!!バカか!!」
「………中学から…気がついたらずっと………人に言える?……私の家、こんなんだって、人に言える?………子供が家に帰るの当たり前だよね。……なら、お父さん受け入れなきゃならなかったの……」
「もう帰るな!!あんなん親じゃねえだろ!!」
「そうだね。……でも、私、どこに行けばいいの?……帰る場所がないよ?」
「うちに居ろ!!!」
「…………雅也さ、私、雅也の何?……セフレでしょ?……その辺りで降ろして。…どうにか生きて行くよ。…でも、ありがとうね」
「降ろすか!!」
意味わかんないけど、私、家出れた。
したくない時はしなくていいんだ。
それだけでも少し楽かな。
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