1章

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当てがある、と言われて吉田と共にお店を出て歩き始める。ちなみにお礼はちゃんと伝えた。 「どこなんですか~?」 「ここからそんなにかからないし、君も気に入ると思うよ」 私が気に入る、か。なんなんだろ。全くわからないや。 今の私に出来る事は大人しくついていくだけ。それにしても吉田と肩を並べて歩くなんて、想像もしなかった。 総司よりも高いだろうか。肩の位置が全然違う。 「ふっ……ちんちくりん」 「なっ!? 失礼です!」 見下して笑うものだから、思わず足を止める。言い返そうとすると吉田は”ここだよ”と指を差す。 こじんまりとした平屋は入り口に暖簾がかかっている。ほんのり甘い香りが漂う。 「甘味処、ですか?」 「正解。京にいた頃、よく行ってたみたいだから」 確かに甘い物好きな総司に付き合って甘味処には頻繁に顔を出していた。 私自身も甘い物は嫌いじゃないし。 「ここ、俺の知り合いも働いてるんだよね」 そう言って先に入る吉田の後を追いかければ、女性の”いらっしゃいませ”という声が。 ん? なんか聞き覚えあるけど……あっ!! 「春!」 無地のくすんだピンク色の着物。袖は襷で落ちないようにされていて。 髪を一つのお団子にして纏めている春の姿がそこにはあった。
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