第2章 崩れゆく日常

5/13
前へ
/39ページ
次へ
  「オハヨウゴザイマス。」 気づけば始業前20分。 ライン監督を行っている派遣社員が出勤してきたのだ。 「おはようございます。」 只野は画面から視線をはずし、彼に向かい挨拶をかえす。 彼の名は、カトラット。 日系外国人で、この会社に転職して間もない只野の先輩に当たる。 茶髪に耳ピアス。 今時の若者だ。 しかし、見た目とは裏腹に仕事はまじめだ。 流石、何年もこの会社で働いているだけのことはある。 「オハヨウゴザイマス。」 アルベートさんだ。 彼はこの生産部では一番古いライン監督者だ。 転職して間もない只野の指導係でもある。 歳も只野より上で、いろいろ相談にも乗ってもらっている。 「おはようございます。 早速ですみませんがアルベートさん。 生産予定の変更です。」 只野は昨夜のFAXをアルベートに見せて説明を始めた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加