第1章 日常

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  5日前、3年ぶりの積雪があり交通機関も麻痺したここ奇棚小山市(きたなこやし)。 残雪が路肩に寄せられてはいるものの、路面はすでに乾いており行き交う車は平常を取り戻していた。 例年になく3月に入ろうかという時の積雪は、この地方では珍しいことであったのだ。 そんな奇棚小山市の端っこにある田園地帯に、増築に増築を重ねた工場がポツリと立っている。 屋根には、熱水を冷却するための装置から白い湯気がもくもくと立ち上っていた。 時刻は午前10時半。 その建物はのどかな風景とは裏腹に、騒音をまき散らしていた。
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