花嫁は焔《ほのお》の護《まも》り姫

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*・゜゚・*:.。.:*.。.:*・☆・*:.。. .。.:*・゜゚・* 「ああ! あなたが最後のリトラ=ルナティアさんですね? みなさんお待ちかねですよ。さあ、こちらの場内直通の通路から早く!」  入口で待ってましたとばかりに受付らしき女性に促され、リトは暗い通路を走り抜ける。  その突き当り、両開きの扉を力いっぱい押し開けると眩しいほどの光が目を刺した。 【──お待たせいたしました! 本日最後の受験者、リトラ=ルナティアさんの登場です!】  場内アナウンスが響き渡り、観客席からワッと歓声が湧き上がる。 「うわ……なにこれ」  ただっ広い闘技場の観客席には、人、人、人。見渡す限り人の山で、リトは思わず立ちすくんでしまった。 【さあリトラさん。まずはあなたの聖護獣をご披露ください!】 「すごーい……こんなに沢山の人が観てる中で試験するんだ。アトラ、お披露目だって。出てきてよ」    まだ呆然としながらも、リトは自分の中のアトラに話し掛ける。 『い・や・だ! 俺は見世物じゃない』  憮然と返ってきた言葉に、リトはプッと吹き出した。 「またまたぁ。ホントは久しぶりに暴れたくてウズウズしてるくせに。こんな大観衆の中でやるならなおさらね。……あたしがそうなんだから、同じに決まってる」
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