花嫁は焔《ほのお》の護《まも》り姫

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 精神性の部分で繋がっている聖護獣と宿主(マスタ)は、大抵の感情も共有する。リトとアトラのように、信頼が深ければなおさらだ。 『そ、そんな事は……ない。お前と一緒にするな』 【おやー? どうしました。もしかしてお嬢さんの聖護獣は試験官に恐れをなしたかな? それでは国の治安を守護する聖警隊(セイントガード)にはなれませんよー?】  アナウンサーのからかい半分の声に、場内がドッと沸いた。  聖警隊員となる為には、公爵家が用意した試験官との戦闘に勝利しなければならない。  屈強な受験者ばかりの所に女の子が現れたのだから、軽く見られるのも致し方ない事ではあるが。 「アトラが恐れをなす……? お嬢さん? 冗談じゃないわ!」  リトはアトラに、そしてその背中に触れる事を許された自分にも揺るぎない自信と誇りを持っている。  聖護獣の背──。  いわば背後を任せるという意味で、聖護獣は主と決めた人間に背中を差し出す。それに触れる事で、初めて宿主(マスタ)と聖護獣の誓約は成立するのだ。 【さあさあ、最後のプログラムなんですから、せめて可愛らしいダンスでもいいですよ。そっちの方がボクは嬉しいかも!】
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