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「では皆の者、見届けるがよい。どちらか背後を取られた方の負けだ」
風の中でユリウスが宣言すると、観客席は割れんばかりの拍手と歓声に包まれる。
「公爵さま。さっきは親切にしてくれてありがとう。でも勝負は別よ。あなただってより強い部下が欲しいでしょう?」
「私の背中を取ったら、地方ではなく私の直属の隊に置いてやろう。本気で来い」
「あは。そのセリフ忘れないでね、ユーリ!」
リトはジャマダハルを目の前で構え、低く構えた。戦闘の師でもあるアトラも同様に低く身構え、静かに息を吐く。
『リト。ジゼルは風と大気を操る一角獣の聖獣だ。攻撃範囲は広くスピードもある……油断するなよ。まずは先手必勝だ!』
二人は同時に地面を蹴り、ターゲットに向かいながらその手に熱い気を練り上げた。
『「デトラファイア!!」』
リトとアトラが声を合わせた瞬間、二人の両手からそれぞれの火炎が迸った。
二本は真っ直ぐに、もう二本は蛇のように複雑に軌道を変えながらユリウスとジゼルに迫る。
『バカ野郎! フェイクの一つも入れろといつもあれほど』
「だってあたし炎のコントロール苦手だもん。威力で押し切る!」
『ジゼルがそんな甘い相手か!』
案の定、二人の炎はジゼルが展開した風のシールドに呆気なく弾き飛ばされ、地面に黒い焦げ跡を残しただけ。
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