花嫁は焔《ほのお》の護《まも》り姫

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*・゜゚・*:.。.:*.。.:*・☆・*:.。. .。.:*・゜゚・*  開け放たれた窓辺で、白いカーテンがフワフワと揺れている。 (風……あたしクルクルって巻かれて……ドーン……? それから……)  リトは薄ぼんやりとした心持ちで、夢と(うつつ)の狭間をさまよっていた。 「気がついたか、気分はどうだ」  声のした方へ視線を流すと、見たこともないような豪奢(ごうしゃ)天蓋(てんがい)付きの寝台(ベッド)に、綺麗な銀髪の男性が腰掛けている。  よく見ると、その寝台は自分が横たわっている場所だった。 「ここ……どこ? 誰……?」 「ここはシオン公爵家の奥屋敷。私は一応、お前の上官になった者だが……雷撃(ラムレス)で記憶まで飛んだか。あれでも加減したんだぞ」 「……ユーリ」  記憶より先にリトの口からその名が出た。 「そうだ。覚えてるじゃないか」  微笑んで、ユリウスがリトの額をそっと撫でる。  その笑顔に胸の中にポッと小さな火がついて、同じ感覚を覚えた最初の出会いからこれまでの記憶がワッと溢れてきた。 「そうだわ、あたし……! ユーリに試験で勝ってそれで……」  慌てて寝台に起き上がったものの、ふと違和感に気づく。
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