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希望に満ちたエメラルドグリーンの瞳でリトがユリウスに詰め寄る。
「約束は私の直属の隊ということだったな。これからお前には私の護衛をしてもらう」
「公爵の護衛隊!?」
「隊と言うほどの人数ではないが。お前はこの屋敷に部屋を持ち、常に私の傍で任務にあたる。厳しいがこれはとても重要で、才のある者にしか任せられない」
予想以上の好待遇とくすぐったいほど期待の籠った言葉に、今やリトの心は羽が生えたよう。
「その代わり誰に遠慮する事なく自由に、私にもあるがままのお前で接してくれ。いわば私の身内も同然だ。……どうだ?」
「最高!」
感極まって、リトはユリウスの首に飛びついた。
「なんて名誉な任務なの! この国の元首をあたしが守るなんて……信じられない」
リトが跳ねる度に、ユリウスの頬にハチミツ色の髪が触れる。
「あたし頑張る! 絶対ユーリを悪い堕聖獣から守ってみせるから。ありがとう、すっごく嬉しい」
「…………」
頬をくすぐる柔らかな髪を指先でそっと払い、彼が子供をあやすようにリトの背中を優しく叩く。
そこでようやくリトは、臣下である自分の立場を思い出した。
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