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アトラとて国の最高位にいる人間を殴り倒すわけにはいかない。いえ、それをしてしまいそうで恐ろしい。
(キスくらい、おはようとおやすみの時のやつだと思えばいいのよ。どうってことない)
「わかり……ました」
覚悟を決め、リトが強張った身体から力を抜いていくと、すぐに唇を塞がれた。
乱暴にされるかとばかり思ったのに、そのキスは優しく愛おしげにリトを味わってくる。
「ん……、……っ!?」
唇が開かれ、柔らかな舌がリトの中に侵入してきた。驚いて身をすくませてもユリウスは許してくれない。
「私の真似をするんだ。同じようにリトも……さあ」
彼の背中を抱く腕と国外追放の言葉が、リトから逃げ場を奪った。
頬を掴まれて、容赦なく口中を侵す舌が上顎を柔らかくくすぐる。かと思うと舌の付け根に巧みに差し込まれ……。
「ん……、ふっ……。ぁぅ……」
リトはたどたどしくも一生懸命、それを真似て彼に応えた。
「そう……上手だ。……っ」
ユリウスの唇からも吐息が漏れる。
絡ませ合い、内頬をなぞり、合間に聞こえる水音に翻弄されるうちに、リトの中に少しずつ変化が現れ始めた。
「んぁ、ぁ……」
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