花嫁は焔《ほのお》の護《まも》り姫

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「きゃあっ……! やだこんなの、恥ずかしい……!」 「隠すんじゃない。……とても綺麗だ。リトは着痩せするんだな」  その言葉の意味もわからない。見られると恥ずかしくて、だからなのか身体の芯がジンジンと燃えるように熱い。 「どうして……こんな、ことするの……? 怖いょ……」 「何が怖い? 私か……?」  そろそろと顔を上げると、そこには少し(かげ)りを持ったブルーグレーの瞳。  整った柳眉、綺麗な稜線を描く薄い唇。神話の神のようだと胸が高鳴ったのは今日の事だった。 (その人にこんな事をされて……。でも、怖いのはユーリじゃない)    自分が自分ではなくなってしまうような、その感覚が物凄く怖い。  ひどくイケナイ事をしているような背徳感が、なおも身体を疼かせる。   「そうだな……。会ったばかりで知らない事を強要されたら、怖いと思うのも無理はない。……嫌っていいぞ」  胸を隠すリトの腕がユリウスに掴まれ、じわじわと外されていく。 「あ……、あぁ……だめ……っ」  鎖骨にキスが落ちて、そこを丁寧に(ねぶ)られると力が抜けてもう身体を支えていられない。 「やっ……!」  リトは両手を寝台に(はりつけ)にされ、仰向けに横たえられてしまった。
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