花嫁は焔《ほのお》の護《まも》り姫

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「ぁ、あ、……っ! ……、……っ!!」  漏れだす声はユリウスの唇に塞がれ、右胸の蕾と濡れた芯芽を同時に愛される。  反射的にのたうつ腰、無我の境地。気が遠くなるような悦びの波にリトは成す術もなく飲み込まれた。 「……わかるか? ここも、ここも、感じるとこんな風に硬く突き出してくる。怖くも恥ずかしくもない、女の身体の自然な現象だ」 (……自然……これが……?)  ぼんやりと霞む視界の中で、身体を起こしたユリウスが手首を反らし腕のカフスを外す。  その仕草と伏せた蒼い瞳があまりにセンシュアルで、リトはまたヒクンと震えてしまった。 「お前を私のものにする。いいな……?」  シャツの前が開き、ユリウスの素肌の胸が露わになった。 (……え……?)  アトラよりも細いけれど、筋肉の張った胸元や引き締まったウエストは美しくしなやかな(けもの)のよう。  でもリトが息を飲んだのは、彼の胸元を斜めに走る傷痕のせいだった。 「私が許しを乞うのも、……制御が利かないのも初めてだ」  ギシッと寝台がたわみ、リトの乳房にユリウスの(きず)が重なって来る。肌と肌が触れ、それを擦り合わせるようにして彼はリトを掻き抱いた。
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