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ポケットの中のスマートフォンが震え、うんざりしながら相手を見る。
「またかよ」
電話をかけてきたのは、母。
俺が留年することを知ってからというもの、毎日電話をかけてくる。
直接話そうとはしないくせに。
そういえば、もうどのくらい両親と顔を合わせていないだろうか。
俺が家に帰らない日もあるせいだけど。
ようやく着信が止まったかと思ったら、数十秒後にメールが届いた。
メールをしてきたのは初めてのことだ。
『いい加減電話に出なさい。留年ってどういうことなの?ちゃんと説明して。息子が留年だなんて、お母さんもお父さんも恥ずかしくて外を歩けないわ。それぐらいのこと分かるでしょ?どうして困らせるようなことするの?何が不満なの。』
途中から読むことをやめた。
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