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そして一時は関係を修復させようと持ってきた、フルーツサンドで機嫌直してもらおうとしたものの時すでに遅く花央ちゃんの怒りは収まるどころか…
『私からのプレゼントは無にしておいて今更、こんなもん出してきたって遅いわよ!』
と逆に怒りを買う結果となり、それに対しても俺は…
『な、何だとー折角持ってきてやったのに!』
と売り言葉に買い言葉となり、な、何と最後は互いにフルーツサンドを手にぶつけ合うまでになってしまったんだ。そして追い出される頃には投げつけられた、フルーツサンドのクリームで顔がベットリ!! 本当だったら、フルーツサンドで甘ーいキッスのはずが口についた甘ーいクリームで失恋の苦ーい味をなめらされる羽目になってしまったんだ。こうなると思い出されるのが姿太朗のこと。折角、俺のため手を尽くしてくれたのにという申し訳なさと正直イケメンだからって、いつも恋が叶う訳でもなく、これまでもそんな時には姿太朗に慰められてきただけに途端に奴のことが恋しくなってきたんだ。都合いいように思われるかも知んないけど、そんな時でも奴は文句一つ言わず黙って俺の側にいてくれ、俺はそれでいつもホッと心が慰められてもきたんだ。それで早速、電話を掛け奴のところへ向かおうとしたんだ。だけど、幾ら掛けても、どうしたのか、まったく電話に出る気配がなかったんだ。実はこの時、姿太朗の身に生死を分ける大変な危機が起こっていたんだ。でもそんなことまったく知らない俺は・・・
『姿太朗何で出てくれないんだ。いつもならすぐ俺からの電話に出てくれるっていうのに俺の危機なんだから出てくれよ、姿太朗ーっ!』
と俺は必死に何度もかけ直し血相をかきながら歩いていたんだ。その時、実は俺の周りでは近くで事故でもあったらしく、けたたましいサイレンの音がして、その音さえ聞こえないくらい、俺は動転していたんだ。しかし俺が姿太朗に掛けた電話の音、ベルは、そのけたたましいサイレンの中、ブーブーブーと鳴るだけで奴に取られることはなかった。そう、その事故に遭(あ)っていた張本人こそ誰でもない姿太朗自身だったからなんだ。奴は俺を玄関先で見送ったあと乗ってきた自転車で帰宅途中、事故に遭っていた。しかも俺が通り掛った、このすぐ側で奴は頭から血を流し路上に倒れていたんだ。しかし、それに気が付き自分が事故に遭ったことを誰かに知らせようとでもしたのか
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