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夫が出かけていれば、夫婦の寝室でも。
どこでも、愛しあった。
小百合は自分の若さのすべてを、巳鈴に吸いとられてしまうんじゃないかと思う。
夜は疲れて、声も出ない。
幸せな日々は数年、続いた。
そのころ、また、あの事件が起こった。
よしこが死んだ。
今度は村人も、さわいだ。
よしこの遺体は、サチエと同様にバラバラだった。
ただ、その首には、誰かにしめられたあとが、くっきり残っていた。
小百合は、よしこの死を、夫の耕作から知らされた。
「殺されたんだ」
「殺された?」
「そう。死体を食ったのは野犬かもしれないが、殺したのは人間だ」
そうか。わたしは結婚してからは、夜のあいだ寝てしまってる。昼間の逢瀬で疲れてるから。
巳鈴さんは、わたしが寝てるうちに、ほかの女と会いに行ってるのかもしれない。
サチエも、よしこも、以前から、わたしと巳鈴さんをとりあった仲だ。きっと、今でも続いていたんだ……。
小百合は聞いてみた。
「昨日、お義姉さんは、どこかに出かけなかった?」
「どこに出かけるって言うんだ?」
「そうよね。なんでもないの」
よしこの葬儀に出向いた。
幼なじみは、みんな、そろっていた。
「わたし、見たんだけど。昨日の夜……」と、えみこがつぶやく。
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