【ガロン視点】幸運の女神に愛を囁く(★)

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「丁度来週、黄昏の国から王妃殿下が遊びに来る。彼に任せて、一年ほど留学させてみようと思う」 「黄昏の国?」  この世界の中心にある閉鎖的な国は、あまりに未知の領域だ。  どうしてそのような国の、しかも王妃と知り合いなのか。  疑問に思えばユーリスは簡単にその秘密を明かしてくれた。 「あちらの奥方も、マコトと同じ異世界人なんだ。以前ちょっとした縁で会話する機会があってな、あちらも懐かしいらしく時々マコトを尋ねてくれている」 「そういうご縁でしたか」  なるほど、縁とは妙な所で繋がっている。  彼の国も昔ほどの閉塞感はなくなったと聞くし、この気持ちを切り替えるには良いことなのかもしれない。 「後日改めてお詫びにくる。許してやってくれるか?」 「えぇ、勿論」  おかげで、ハロルドの心を聞くことができた。  ガロンは未だに泣く幼い少年の未来に幸がある事を願うばかりで、あえて声はかけずに送り出した。
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