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「丁度来週、黄昏の国から王妃殿下が遊びに来る。彼に任せて、一年ほど留学させてみようと思う」
「黄昏の国?」
この世界の中心にある閉鎖的な国は、あまりに未知の領域だ。
どうしてそのような国の、しかも王妃と知り合いなのか。
疑問に思えばユーリスは簡単にその秘密を明かしてくれた。
「あちらの奥方も、マコトと同じ異世界人なんだ。以前ちょっとした縁で会話する機会があってな、あちらも懐かしいらしく時々マコトを尋ねてくれている」
「そういうご縁でしたか」
なるほど、縁とは妙な所で繋がっている。
彼の国も昔ほどの閉塞感はなくなったと聞くし、この気持ちを切り替えるには良いことなのかもしれない。
「後日改めてお詫びにくる。許してやってくれるか?」
「えぇ、勿論」
おかげで、ハロルドの心を聞くことができた。
ガロンは未だに泣く幼い少年の未来に幸がある事を願うばかりで、あえて声はかけずに送り出した。
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