【グラース視点】黒龍発スイーツパニック(★)

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 そうして向かう庭先のテーブルに、俺は目を輝かせた。  ハート型のクッキーには苺やオレンジ、レモン、ブルーベリーのジャムがトッピングされている。他にも二種類のトリュフ、苺のレアチーズケーキ、苺をトッピングしたフルーツショート(スポンジはココアだった)などのスイーツが乗っている。 「グラースさんは本当に、スイーツ好きだよね」  俺の尻尾がひとりでに揺れているのを見たマコトが、口元を手で隠して嬉しそうに笑う。  俺は照れ隠しに「見るな」と言うが、言う奴が頬を火照らせたんじゃどうしようもない。  俺は甘い物が好きだ。  俺の様なガタイのいい目つきの悪い軍人がスイーツというと大抵バカにされる。だが、好きな物は好きだし、美味いんだから仕方がない。  部下になめられたくないと虚勢を張って軍では食べないが、疲れると特に恋しくなる。  大抵の部下が酒や肉を好む中、俺は酒が体質に合わず5杯も飲めば寝る。  周囲が軽く10杯は飲む中で俺はこうだ。だいたい、1杯で顔が赤くなるのだから仕方がない。  その分甘い物だ。チョコ、生クリーム、カスタード、ジャム。マコトが前に作った「苺大福」というのもなかなか良かった。 「おっ、始まってるな!」 「ハロルドさん!」 「こんにちは、マコトさん」     
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