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「志輝さんもお久しぶりです!」
こうしてメンバーが揃い、お茶会が開始された。
ガロンの嫁のハロルドとはもう何度も顔を合わせている。気の良い明るい性格の奴だが、少し気を使いすぎる部分がある。
特殊スキル「幸分け」なる面倒なスキルを持っている。他人の幸せを願い口にすると自分の幸せを分けるという、本人にしたら厄介なスキルだ。
こうなると発言に慎重になったり、無口になるのが普通だろうが、こいつは人一倍口数が多くて、同時に迂闊だ。友人として非常に心配になる。
そしてもう1人、ここ数年で知り合ったシキという男はマコトと同じ異世界からきた人族だが、どうにも気が抜けない。
柔和であり、一見は柔らかい。だが彼はその底に言い知れぬ物を持っている。
しかも本人も「前職は殺し屋です」とニッコリ公言した。今は魔人族の王に嫁ぎ、王妃をしているというとんでもない男だ。
「それにしても、マコトのケーキは本当に美味いよな」
ハロルドが苺ショートを食べながら綻んだ顔をしている。
「あちらの世界でパティシエにでもなっていれば、人気が出たんじゃありませんか?」
シキはそう言いながらトリュフを摘まんでいる。
「ショコラティエでもいいですね」
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