1958人が本棚に入れています
本棚に追加
/307ページ
「美味そうに食べるよな」
「見た目に反しますよね、本当に。グラースさんは甘い物を食べている時に可愛い顔をします」
「ん?」
なんだか聞き慣れない……一部の変態以外からは聞いた事のない言葉が聞こえて俺は顔を上げた。
シキは柔らかく微笑みながら、俺の皿にトリュフを一つ追加する。
「おや、自覚がありませんか? グラースさんはスイーツを食べている時は目尻が下がり、頬が上気して嬉しそうに微笑むのですよ。耳も少し折れるし、尻尾もずっと緩く揺れています」
「そんな事!」
「え? いや、可愛いは別としてすっごく好きなんだと思えるぜ」
「俺も、最近はグラースさんが喜んでくれるスイーツを作ろうと腕を振るってるんだよ」
「えぇ!」
分からなかった…。
俺はガックリと肩を落とす。そんな俺に、他の3人は大いに笑った。
「そういえばさ、今黒龍の王都にあるスイーツ店が大人気なんだけどさ、知ってるか?」
ハロルドが行儀悪くフォークを持ち上げながらそんな事を言う。こいつ、一応は王子だったのに時々行儀が悪い。
そして勿論、俺はその店を知っている。
噂を聞いたランセルの側近ハリスが買ってきた事がある。
食べて、マコトの味に似ていると思ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!