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「小さな店だけど、すっごく美味いって噂でさ。この間、シエルが買ってきてくれたんだよ。でもあの味さ、マコトの味に似てるんだよ。知ってるか?」
「あぁ、それならきっとエヴァの店だよ」
「「ん?」」
俺もハロルドも驚いた顔をしてマコトを見た。
マコトの所の長女エヴァは、見た目こそマコトに似た大きな黒い目をしているが、中身はユーリスに似ているのかもしれない。
勝ち気で男勝りで、女性でありながらレイピアを極め乗馬を楽しむ。男なら立派な軍人になれる、そんな凛とした女性だ。
その子が、まさかスイーツ店なんて…想像ができない。
マコトはニコニコと嬉しそうに笑って、話してくれた。
「俺の両親がさ、2年くらい前に年だからって宿屋をたたむって言ってね。それを聞いたエヴァが『勿体ない』って言って、そこでスイーツ店を開くって言い出したんだ。俺と一緒によく作ってたし、レシピ書きためてたからそれでやるって。両親もさ、喜んじゃって。お店閉めるの、ちょっと寂しく思ってたみたいでね」
マコトが「両親」というなら、黒龍王都に住むモリスンとマーサ夫妻の事だ。小さいながらに宿屋を営んでいて、食事処としては人気だったとか。
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