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シエルから告白を受けた夜、俺は父上と母上の私室へ行った。
言うべき事を言わなければ、そう思っても少し足が重い。
バカ弟のエッツェルが昨日、ガロン様に対して失礼をしたばかりだ。
反対されたらどうしよう。思いながら、ドアをノックした。
母上と父上が少し驚いた顔をしていたけれど、俺の事を迎えてくれた。
俺はなんて言い出して良いか分からないまま、しばらく無言だった。けれど、このままじゃいけない。意を決して、挑むような気持ちで声を発した。
「俺、お付き合いをしたい人がいます。相手は、シエルベートです」
震えそうになる声を張り上げて、俺は宣言した。どうにか出てきた言葉にほっとしている。
そんな俺を見る母上は、とても驚いた顔をしていた。綺麗な黒い目をまん丸にして、きょとんとした顔だった。
反対なんだろうか。俺は真剣で、シエルも多分真剣で、両思いなんだけれど。
「あの!」
「え、今更なの?」
「え?」
母上の言葉に、俺の方が驚いてマジマジと見てしまった。そんな俺に、母上はとても穏やかに笑っていた。
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