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「だって、ロアールは初めて会った時からシエルくんの事が好きだったでしょ? それにシエルくんも、ロアールの事とても慕っていたし。俺はてっきり、二人はもうそういう気持ちで一致してるって思ってたけれど」
「あ…のぉ…」
「うん、良かった。俺もなんだかホッとしたよ。二人が幸せならね、俺は何にも文句ない。あっ、でも向こうの親御さんにはちゃんと挨拶して、よろしくお願いしますって言ってね」
ピシッと指を立てられて「約束」と言われる。
優しくて柔らかいのに、とっても強い俺の母上はさすがだ。
俺は緊張が解けて、力なく笑ってしまった。
「俺もマコトの意見に同意する。式はいつにする?」
「あぁ、そこまでは! まずはじっくり、二人の時間を楽しみたいと思って。その、デートとかもしてみたいし。だからまだ、子作りも考えてない」
「そうか。いや、焦らなくていいんだ。出生率も上がっているから、二人のタイミングで行えば良い。ただ、王族の輿入れだ、時間がかかる。その点を考えて、決断したら早いうちに知らせてくれ」
そっか、そういう面倒もあるんだな。なんて、俺はぼんやり考えてしまう。
そしてそこで、もう一つ言わなければいけない事を思いだした。
「あの、父上!」
「どうした?」
「あの、俺は将来的にはシエルの子を産むことになるから、あちらの家に嫁ぐ事になる。だから、その…父上の跡を継いだりとかは、出来ないと思う。ごめん」
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