【ロアール視点・R18】ロアールの初恋

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 それから数日たって、俺達は最初のデートをすることにした。  黒龍の王都で待ち合わせると、シエルはとても心細そうな顔をして立っていた。  シエルは綺麗だ。  金色の柔らかい髪は、背中くらいまで伸びている。大きな金色の瞳はそのまま、お日様みたいな優しい色をしている。色が白くて、線が細くて、俺みたいな奴が力を加えたら折れるんじゃないかと思って心配になる。並べば、俺よりも頭一つ分は小さい。 「シエル」 「ロアール」  不安そうな瞳が俺を見て、パッと花を咲かせたみたいに輝いて綻ぶのは、もの凄く危ない。一瞬クラッとする。 「待たせてごめん」 「ううん、平気だよ」  嬉しそうに頬を上気させるシエルが可愛い。俺は凄くドキドキしながら隣に並んだ。 「今日は何をするの?」 「えっと……まず、ご飯食べようか。それで…なんだっけ?」  お付き合いなんて経験がない俺は、一生懸命リサーチをしてきた。  まずは食事が大事らしい。でも、高い店とか俺は苦手でどうしたら良いか分からない。シーグル兄上なら、きっと素敵にエスコートとか出来るんだろうに。 「あの、ロアール」 「え! あぁ、なに?」     
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