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「あぁ。俺もさ、誰かと付き合うなんて初めてだ。だから、どうしたら良いのか分からない。つまんなかったらごめんな」
言ってシエルの柔らかい髪に手を梳き入れる。
やっぱりサラサラとして柔らかくて、とても気持ちが良い。
シエルは俺に甘えて、小さく笑った。
「つまんないなんて、そんな事ないよ。僕ね、ロアールと一緒にいられるだけで嬉しい」
そんな事を警戒心ゼロの満面笑顔で言ってくる。
俺の天使は無自覚に欲望を駆り立てている。
でもまさか、昔から遊んでた相手だったとしても一応は初デートだ。
清い関係で終わるのがセオリーだと思う。
「ねぇ、ロアール」
「どうした?」
「マコト様やユーリス様に言った? 僕たちの事」
「あぁ、うん」
少し落ち込むシエルに俺が焦る。
もしかして、反対でもされたんだろうか。だとしたら不安だ。俺はシエルの事が好きだし、両親も認めてくれた。
でも、ガロン様やハロルド様が難色を示すなら、簡単じゃなくなってくる。
ドキドキしながらシエルの言葉を待っていると、シエルは俯いたままに続けた。
「なんて、言ってた?」
「応援するって。家を継がない事も、嫁に出る事も言った。父上も母上も喜んでくれたし、家の事は気にしなくていいって」
「本当!」
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